TVT手術の問題点を解消するために、見直された20年前の術式
腹圧性尿失禁には、日本的には、2つのケースがあります。
一つは、恥骨から尿道までの靭帯・筋膜が損傷することで、尿道が膣側に落ちてくるもの。これは尿道瘤という外見をしめします。尿道が過剰に移動するようになりますので、尿道過可動といいます。この場合は、TVT手術という人工テープを挿入する治療が効果的です。人工テープの挿入が可能な場合は、当然、自分の体から取り出した組織を移植することは効果的です。
もう一つは、尿道そのものが弱ってしまうことです。尿道は幅が1cm前後という薄い組織ですが、その中に筋肉があります。この筋肉が弱くなる現象で、見た目では尿道が細くなっているのがわかります。これを、内尿道括約筋不全といいます。これは、人工テープの場合は、TVT手術を適応としてよい場合と、そうでない場合がありますが、自家移植であれば可能になると想像はされます。ただし、まだ統計データが揃っていません。
実際の手術
おなかに切り込みをいれて、真皮・脂肪・筋膜などの組織を採取します。最大で8cmあれば十分です。
このおなかの部分は、生活に支障のない、あまっている場所です
次に、TVT手術を準備します。TVTの人工テープのうち、体内のアレルギーの起きやすい部分である8cmは天然組織におきかえます
手術は、日帰り手術です。手術時間は90分前後で、午前中に行い平均的には午後2時にみなさまお帰りになります。翌日点滴に受診におこしになる必要があります。出血量はほとんどありませんが、まれに静脈瘤という静脈の病気が尿道の両脇にあるひとは出血します。それでも、100ml以下で終わります。
よこすか女性泌尿器科のホームページからチェック!
奥井医師が長年膀胱脱に取り組んできたので、当院ホームページにはたくさんの資料があります。どれも、イラスト豊富な腹圧性尿失禁の解説です。
腹圧性尿失禁1 いろいろな尿失禁
腹圧性尿失禁2 (切迫性尿失禁)
腹圧性尿失禁3 (いつりゅう性尿失禁)
腹圧性尿失禁4 (機能性尿失禁)
腹圧性尿失禁5 骨盤底筋体操
腹圧性尿失禁6 膀胱訓練と排尿日誌
腹圧性尿失禁7 保険認可手術
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査読付き国際論文を比較することで、グローバルに理解できます。国際論文では、日本で知られているものとは違う分類で表記します
最初に、国際論文では腹圧性尿失禁を次のように分類します
腹圧性尿失禁は、膀胱頸部と尿道が適切に閉じることができない場合に発生します。これら尿道などの構造が下に移動し、弱くなった骨盤底の筋肉を通って膨らむ(ヘルニアになる)とき、それらは過可動性であると言われます 。ヘルニア、または 膀胱瘤は、尿道の角度を変化させ、尿道を開いたままにして尿を漏らします。腹圧性尿失禁には3つの分類があります。
タイプI SUI I 膀胱頸部と尿道は開いており、わずかに可動性が高く、ストレスがかかると尿道は2cm未満下に移動します。I型患者は膀胱瘤の兆候がほとんどまたはまったくありません。
タイプ II SUII II ダウン以上2センチメートルより膀胱頸部および尿道が閉じられるとhypermobileといいます。膣内に膀胱瘤がある患者は、IIA型腹圧性尿失禁といいます。膀胱瘤が膣の外側にある場合、それはタイプIIBとといいます。
タイプIII(重度)SUI III –尿道括約筋は非常に弱い場合です(内因性括約筋欠損症と呼ばれます)。
また、腹圧性尿失禁だけの場合は、SUI. 腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同時にある場合は MUIといいます。
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