腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁7 保険認可手術

腹圧性尿失禁の手術とは

腹圧性尿失禁は、一言でいえば、『尿道がぐらぐら』になったために、安定性がわるく、尿がもれてしまうのです。悩んでいる本人にとっては、尿道の周りの筋肉の力がよわくて、なかなか閉めることができない。だから、重いものをもったり、咳をしたりするなどの、腹圧がかかる行為をすると尿が漏れてしまう。という病気なのです。

そこで、手術としては、尿道をテープですこしささえます。このささえ具合が重要で、立ってあるくときは、しっかり支えてほしいのですが、座位になって排泄するような姿勢をしたら、尿道をゆるめに支えてほしい。このことで、立った時は尿がもれず、すわって排泄する姿勢では尿がすんなりとでることを実現します。

現在の手術は、インテグラル仮説が有力(図がインテグラル理論)

現在の腹圧性尿失禁は、インテグラル仮説という新しい理論で手術をします。インテグラル仮説というのは、あまりに新しく、理解するのがむずかしいので、ここでは割愛します。手術は、テープを挿入するものが、主流です。代表的なのが、TVT、TOT、TFS、筋膜スリングと、4つあり、当院では、すべて実施しますが、最近はTOT手術とTFS手術が圧倒的に多くされました。では、この4つの特徴をみてください。ただし、このうちTFS手術は副作用の観点から米国政府は販売を停止しました。

TVT手術

この手術は、尿道をささえるものは、テープです。テープは、尿道をささえたあと、下腹部にとめます。当院や私のグループでは、重症の尿失禁の方で、おこないます。よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックでは、日帰り手術で可能です。費用は、手術費用のみで、入院費用がありませんので、平均的には総額約18万円(国民健康保険1割の方は1.8万円が負担分)です。

手術がおわると強い生理痛のような感じですが、どなたも自宅に帰ることも、食事にでることもできます。翌朝になると中程度の生理痛、翌々日は軽い生理痛になります。軽い生理痛は2週間継続し消失します。

TOT手術

この手術は、尿道をささえるものは、TVTと同じテープです。テープは尿道をささえたあと、股間にある足の付け根の膜に固定します。この部分は、上手に挿入をすると痛みがありません。費用は、手術費用のみなので、平均的には18万円ぐらい(国民健康保険1割の方は、1.8万円が負担分)です。

筋膜スリング手術(ハーバード大学ブリガムスリング)

この手術は、尿道をささえるものは、腹直筋の筋膜です。筋膜は、2x4cmのサイズを準備して、その筋膜をとけない手術糸でひきあげて、下腹部に固定します。以前は頻繁に実施していましたが、テープの手術の方が、はるかに痛みがすくなく、かつ、おなじ効果がえられるので、現在はほとんどしていません。テープなどの人工物を挿入することに抵抗のある人は、実施します。こちらも国民健康保健適応です。この手術は、おなかをきることから、のぞまれる方がすくなく、2010年から2020年までの期間希望者がいませんでした。

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