【当院の海外論文】ボツリヌス膀胱注射治療には排尿日誌とフレイルスコアが重要

当院の研究を紹介します。
私たちのクリニックでは、年間に約300人余の女性の過活動膀胱ボツリヌス膀胱注射を実施しています。
非常に多くの患者さんがいますので、他の病院ではできないこと、つまり、いち早くデータ解析をして、有益な情報を伝えたいと思います。

過活動膀胱に対するボツリヌス膀胱注射

過活動膀胱に対するボツリヌス毒素膀胱注射は、尿意をコントロールするための治療法の一つです。過活動膀胱は、膀胱が通常よりも頻繁に収縮してしまう状態であり、頻尿や尿漏れなどの症状を引き起こすことがあります。ボツリヌス毒素膀胱注射は、一般的に神経筋遮断薬として知られるボツリヌス毒素を使用して行われます。ボツリヌス毒素は、筋肉の過剰な収縮を抑制する効果があります。膀胱に注射されることで、膀胱の筋肉が過剰に収縮するのを防ぎ、尿意のコントロールが改善されることが期待されます。
ボツリヌス毒素膀胱注射は、一般的に効果が長続きするため、平均して6か月おきに再注射を行うことがあります。効果の持続時間は個人によって異なる場合がありますが、多くの患者が6か月以上の間、過活動膀胱の症状の改善を感じることが報告されています。定期的な6か月おきの注射が推奨される理由は、ボツリヌス毒素の効果が徐々に弱まってくるためです。効果が切れてきたら、再び膀胱の収縮が増加し、過活動膀胱の症状が再発する可能性が高まります。定期的な再注射により、持続的な効果を維持することが目指されます。

ボツリヌス注射の副作用研究が最先端。でも、、、

このボツリヌス毒素膀胱注射には、副作用があまりないのですが、薬が効きすぎて排尿後の残尿が増えれしまう人がいます。今まで、いろいろな研究者がこの残尿を治療前に予測できないか研究を重ねていたわけです。そこで、有力なのが排尿日誌。何度もトイレに行く回数が、すごく多い場合。次に有力なのは、排尿効率。排尿した後で、残尿超音波をして測定した量から考える排尿のできた割合。
ここで、多くの研究者が、”糖尿病は?” ”年齢は?” ”高血圧は?””高コレステロール血症”、”脳梗塞”と生活習慣病などさまざまなデータを入れてきたのですが、統計上、関係ないと出ます。本当にそうなんでしょうか?

生活習慣病のような重大なものが副作用に関係ないと出るのは、統計上の盲点!

私たちは、生活習慣病について、どの研究者がボツリヌス注射の副作用と関係しているか調査すると、必ず、関係ない と出てくるのは、なぜなんだろうと思いました。それは、統計をとるときに、生活習慣病をバラバラにして、互いの病気の影響が出てこないように加工して解析するからじゃないかと思いました。つまり、統計上の盲点です。生活習慣病は、お互いに干渉し合ってます。例えば、脳梗塞と高血圧。みなさんご存知のように、この2つは、それぞれ別のものでないです。しかし、統計をするときは、脳梗塞の統計に、高血圧が影響しないようにします。これを、バイアスをとりのぞくと言います。そこで、生活習慣病を一括りにできるものはないか?できれば、年齢とか、筋力とか、歩行とか、やる気とか、何でもかんでも統合して一つのカテゴリーとして扱えば、ボツリヌス注射の副作用の原因の候補として出てくるのではないか?と考えたのです。
それは、フレイルです。特に、最初にアメリカで定義された、筋力などに疾患を取り入れたものです。

フレイルがボツリヌス注射の副作用の原因であることを示すには人工知能での分析が必要

私たちは、初期の約120人のデータを細かく分析をしました。過去の研究では、ボツリヌス毒素膀胱注射の副作用の候補をあげるのが精一杯だったのが、ランキングでわかるようになりました。この人工知能での分析方法を、ランダム・フォレストと言います。この人工知能を用いると、こんなことがわかります。

大事なのは、フレイルを調査しておくことです。転倒をしやすい高齢者に、運動ができている高齢者と同じような量で、同じような間隔でボツリヌス注射をするのは、注意しながらしていく必要があります。

 

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