ビックデータと人工知能による最善の治療コース
よこすか女性泌尿器科クリニックでは、ビックデータの集積と人工知能によるその解析をもとに最善の治療コースを提案します。2000年ごろから始まったポリプロピレン素材を体内に挿入固定して骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁を治療することは、一時期メッシュ手術以外を受付ないような風潮を世界に作ってしまいましたが、2016年の英国での副作用調査論文や多数の女性の告発により英国での禁止、さらには2019年の米国政府の承認取り消しにまで進みました。これらは、治療のデータを把握せず、だれでもメッシュなら大丈夫と盲目的に治療が勧められたからだと思います。
そこで、よこすか女性泌尿器科クリニックでは、先入観なしに診察をして、骨盤底のどこが弱まっているかを考えること、その背景に現在国際論文として発表されている文献のデータ、過去のカルテの検証データなどをもとに、治療方法を導き出します。
数理モデルの話が読みたいひとは、難しい内容なので、こちらに別ページ
当院の方法は、まず、患者様の身体のどこが不快感や痛みがあるのか、触らせていただきます。ここで、およその目星をつけておきます。このあと治療方針への道を考えていきます
チーム医療が必要
大学病院と総合内科の連携にとる全身を診る医療
当院は、医療グループとして神奈川歯科大学と横須賀タワークリニックと連携しております。
神奈川歯科大学は診断の際にMRIや腎臓内科データを当院に提供します。
横須賀タワークリニックは、呼吸器・循環器・消化器・小児科・皮膚科を有する総合内科で、当院の手術における術前・術後サポートを行います。
これらの連携が日帰り手術を可能にするようにサポートをいたします。
チーム医療は、あたらしい分野を見つけ出す
チーム医療の目的は、ただの連携だけではありません。あたらしい分野を引き出し、その問題を解決することです。
たとえば、骨盤臓器脱の患者様では、進行すると腎臓に尿がたまる病気である水腎症になることがわかっています。それは、膀胱の位置が落ちることで、尿管に過剰なテンションがかかり、尿管の血流がわるくなるからです。血流の悪い尿管の筋肉は、締め付けたり開いたり能力がおちます。こうして、尿が腎臓から膀胱へしっかり流れなくなり、腎臓に尿がたまり、水腎症になるのです。
ここまでは、いままでの女性泌尿器科ではわかっていたことです。でも、ここまでなる骨盤臓器脱の人は、私のところが年間1000人手術して40から50人ぐらい。数が少ないので、骨盤臓器脱手術をしているドクターでもピンとこないかもしれません。
しかし、この患者さんたちは、糖尿病を同時に持っていることがしばしばあります。糖尿病は腎臓に障害をもたらす病気です。骨盤臓器脱による治療が糖尿病性腎症に負担をかけてはいけません。
腎臓に注目すると、尿が腎臓に停滞することで水腎症を生み出す
膀胱は骨盤の外に落ちているので、尿が停滞をしている。感染を招く場合がある。
両者を3D-CTでみると、以下のようになります。
膀胱がおちるということが、腎臓にあたえる影響が大きい
高血糖・糖尿病がもたらす細胞内代謝異常と血行動態異常が腎臓へのサイトカインを産み、輸入細動脈にストレスをかけます。ここに、水腎症の改善が急にくるとどうなるか、その結果はだれもしりません。
一度の手術でメッシュを用いて膀胱を固定した方が尿管にストレスがかかるのか、メッシュを使わず2回にわけて少しずつ治した方がいいのか、作戦はいくつも思い浮かびます。以前は、そのようなもの水腎症の中にプラスチックのカテーテルを留置と答えが一つのように考えてきましたが、その結果、一度に尿がでるようになり、脱水をおこし、その間に腎臓が悪化した人をたくさん見てきました。もちろん、がんや尿管結石の場合にプラスチックのカテーテルを留置が大変よい結果をもたらした経験は数多くあります。
このような場合に有効なのが人工知能です。腎臓内科で、尿中のサイトカインやミネラルを測定しながら、そのデータを入力して、そして、糖尿病性腎症がでてこないように確認しながら手術を進めていきます。
人工知能の論文実績
Okui N, Miyazaki H, Takahashi W, et al.
Comparison of urethral sling surgery and vaginal non-ablative erbium: YAG laser treatment in 327 patients with stress urinary incontinence:
A case-matching analysis. Lasers in Medical Science 2021;
DOI: 10.1007/s10103-021-03317-x (Online ahead of print.)
YouTubeから
人工知能のデータから術後に尿管狭窄が出現する場合を予測の上で治療をすすめている。そして、術後にかならず尿管を調査することで、骨盤臓器脱手術の後遺症をかぎりなくゼロにしている。
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