人工知能『ヴェスパー(vesper)』の紹介
当院は毎年800から1000件の手術をしています。その全てが骨盤臓器脱と失禁です。膨大なデータは解析をすることで、日頃の診察での治療プロセスの決定に使うことができます。
人工知能『ヴェスパー(vesper)』
当院の人工知能『ヴェスパー(vesper)』は、人工知能プログラムPythonを基礎に、医学統計(重/ロジスティック回帰, 検定)を担当します。当院の膨大なデータ解析に役立ちます。数理モデルを立ち上げて計算します
数理モデルは難しいので、読みたい人は こちら をクリックしてください
MRI検査において
- 恥骨結合角
- 尿道:縦径、横径
- 恥骨結合後端ー直腸前壁間距離
- 子宮における恥骨結合後端ー尾骨間距離
- 膣レベルでの環状断骨盤口径
ウロダイナミック検査において
- 膀胱内圧と腹部内圧比較
- 膀胱内圧と尿道内圧比較
- 尿道内圧と肛門内圧比較
これらのデータに対する手術時間、手術での左右差(VAS10)、出血時間、無再発率を計算します
また、パイソン言語にて、ハーバード・データーベースの解析を行い、他施設との比較を計算します。
(図はイメージ)設定は個々によって変わります。過去のデータを、治療を予定する患者の重要な変数に置き換えることで、手術の形式を選んでいきます。
Okui N (January 30, 2024) A Discrete Mathematics Approach for Understanding Risk Factors in Overactive Bladder Treatment. Cureus 16(1): e53245. doi:10.7759/cureus.53245 より
これは、ボツリヌス膀胱注射という治療の副作用をみたもので、どのような人に副作用がでやすいのかを、3つのグループにわけて考えたものです。このグラフを使うと、これから治療をしたいと考える患者さんが、どの立ち位置なのかわかります。
AIについては、いくつかの論文を国際的に提出して、その都度、データサイエンスの強化を図っています。
離散数学という分野についての研究
① Okui N (January 30, 2024) A Discrete Mathematics Approach for Understanding Risk Factors in Overactive Bladder Treatment. Cureus 16(1): e53245. doi:10.7759/cureus.53245
これは、ボツリヌス膀胱注入という現在日本でひろまりつつある治療法を、副作用の観点から見た場合の予測を、グーグル・マップと同じ人工知能のプログラミングで考えたものです。
因果推論という分野についての研究
① Nobuo Okui, et al. Comparison of urethral sling surgery and non-ablative vaginal Erbium:YAG laser treatment in 327 patients with stress urinary incontinence: a case-matching analysis Lasers in Medical Science DOI: 10.1007/s10103-021-03317-x
これは、因果推論の基本と言われる傾向スコアという方法で、データを分析することで、出産を希望する患者さんは人工物をのぞんでいないことをしめしたものです。
機械学習という分野についての研究
① Okui N, Erel T, Okui M (August 30, 2023) Analysis of Predictive Factors for Return to Sports in Female Athletes With Stress Urinary Incontinence. Cureus 15(8): e44364. doi:10.7759/cureus.44364
これは機械学習のランダムフォレストという技術の論文です
② Okui N, Ikegami T, Hashimoto T, et al. (July 29, 2023) Predictive Factors for High Post-void Residual Volume in Older Females After OnabotulinumA Treatment for Severe Overactive Bladder Using a Machine Learning Model. Cureus 15(7): e42668. doi:10.7759/cureus.42668
これは機械学習のサポートベクターマシンという技術の論文です。
人工知能の医学特集は、こちらにあります