人工知能で発見!間質性膀胱炎/膀胱痛症候群には3つのグループが存在【当院の海外論文】

 

間質性膀胱炎膀胱からのアプローチ 間質性膀胱炎の診断に人工知能をとりいれた 新しいアプローチを数種類用意

 

画期的な研究結果!人工知能による間質性膀胱炎/膀胱痛症候群の3つのグループ分けに成功しました。このことで、いままで治療法の見つからなかった間質性膀胱炎/膀胱痛症候群の患者さんの治療法が明確になっていきます。よこすか女性泌尿器科が最新の情報を提供します

間質性膀胱炎(IC)や膀胱痛症候群(BPS)は、骨盤の痛みや尿の問題を引き起こす慢性的な病気です。これらの病気は患者の日常生活に大きな影響を与えるにもかかわらず、その症状の違いや外陰部の痛み(外陰痛)が十分に理解されていないことが多いです。この研究では、人工知能を使ってBPS/ICの患者を分析し、新しい治療法を見つけるための情報を提供することを目指しました。

間質性膀胱炎/膀胱部痛症候群の実際の系統樹

間質性膀胱炎/膀胱部痛症候群の実際の系統樹

病気の複雑な症状はもとになる先祖がいるはずだ!

病気の複雑な症状はもとになる先祖がいるはずだ!

研究方法は、間質性膀胱炎と診断される患者さんをあつめて、その系統樹をいう人工知能の技術をつかいます。
系統樹とは、物事をグループ分けして、共通点や違いを見つける技術です。系統樹で有名なのが、ダーウィンの進化論です。彼は動植物の進化の過程を系統樹として表し、どのようにして現在の多様な生物が進化してきたのかを示しました。同じように、私たちは患者さんの症状を系統樹で分析し、どのようなグループがあるのかを見つけました。

この技術をもちいれば、おおもとの病気の原因にたどり着くことが可能になるのですね。

間質性膀胱炎と診断された患者さん123人と健康な人64人を対象に、詳しい質問票を使って症状を調べました。
そして、人工知能の一種である「機械学習」を使って、患者さんをいくつかのグループに分けました。

a diagram of a principal component

人工知能による間質性膀胱炎/膀胱部痛症候群の3つの分類

間質性膀胱炎/膀胱部痛症候群は、初診のときに3つに分類することをめざすと治療への道がひらける

間質性膀胱炎/膀胱部痛症候群は、初診のときに3つに分類することをめざすと治療への道がひらける

すると、3つのグループにわけることが可能になります。

すると、第一グループは、膀胱に炎症がある
第三グループは膣と尿道の間あたりに炎症があるとみいだします。
第二グループはその真中の病態です。

ここまで分解できると、どんな治療をまずするべきかという違いが明確になります。

 

人工知能の分析により、BPS/ICの患者さんは3つの異なるグループに分けられることがわかりました。特に3つ目のグループは、外陰部の痛みが強いことが判明しました。このグループは、膀胱の痛みや頻尿の症状が比較的軽いのが特徴です。一方、他の2つのグループは、膀胱の痛みや頻尿の症状が中心でした。

背景: 間質性膀胱炎(IC)や膀胱痛症候群(BPS)は、骨盤の痛みや尿の問題を引き起こす慢性的な病気です。これらの病気は患者の日常生活に大きな影響を与えるにもかかわらず、その症状の違いや外陰部の痛み(外陰痛)が十分に理解されていないことが多いです。 方法: 間質性膀胱炎と診断された患者123人と健康な対照者64人を対象に、質問票を用いて症状を詳しく調査しました。そして、人工知能の一種である「無監督機械学習」を使い、患者をグループ分けしました。特に「系統樹」という技術を用い、これは物事をグループに分けて共通点や違いを明らかにする方法です。 結果: BPS/ICの患者は3つの異なるグループに分かれることが判明しました。特に3つ目のグループは外陰部の痛みが強く、他の2つのグループは膀胱の痛みや頻尿が中心でした。 結論: BPS/ICには異なる特徴を持つ3つのグループが存在することが明らかになりました。この画期的な発見により、特に外陰部の痛みが強いグループにはレーザー治療などの特別な治療が効果的かもしれないことが示されました。また、外陰部の痛みを正確に評価するための専用のテストが重要であることも分かりました。この発見により、BPS/ICの理解と治療が大きく進展することが期待されます。 間質性膀胱炎(IC)や膀胱痛症候群(BPS)の研究において、人工知能の分析により、患者を3つの異なるグループに分類し、それぞれの特徴を明らかにしました。特に外陰部の痛みが強いグループには、レーザー治療などの特別な治療法が効果的かもしれません。この結果は、個別に適した治療法の提供や疾患の理解と治療の進展に役立つことが期待されます。 人工知能の分析により、間質性膀胱炎(IC)や膀胱痛症候群(BPS)の患者は3つの異なるグループに分類されました。特に3つ目のグループには外陰部の痛みが強く現れ、他の2つのグループでは膀胱の痛みや頻尿が中心的でした。この発見により、個々のグループに合わせた治療法が提供され、BPS/ICの理解と治療の進展が期待されます。

この研究により、BPS/ICには異なる特徴を持つ3つのグループが存在することが明らかになりました。この発見は、患者さんの症状に合わせた個別の治療法を提供するための重要な一歩です。特に外陰部の痛みが強いグループには、レーザー治療などの特別な治療が効果的かもしれません。また、外陰部の痛みを正確に評価するためには専用のテストが重要であることがわかりました。この画期的な発見により、BPS/ICの理解と治療が大きく進展することが期待されます。

 

合わせて読みたい

【当院の海外論文】外陰部痛(ヴォルヴォディニア)へのレーザー治療

女性泌尿器科専門人工知能 ”AIまちこ先生(β版)” ができました

参考文献

詳しい解説
# 自動学習が示した膀胱痛症候群/間質性膀胱炎における外陰痛優位なサブタイプ
## はじめに
膀胱痛症候群/間質性膀胱炎(BPS/IC)は、骨盤の痛みや排尿症状を特徴とする慢性的な状態で、患者の生活の質に大きな影響を与えます。この病気の原因は複雑で、多くの場合、骨盤臓器の炎症、外陰痛、骨盤筋肉の痛みなどの併存症が報告されています。これらの症状は膀胱の外にも広がり、病気の症状を複雑にします。
特に外陰痛は、最近注目を集めています。報告によると、BPS/IC患者の30〜50%が外陰痛を併存しているとされています。この研究は、無監督の機械学習を使用してBPS/IC患者のサブタイプを特定し、それぞれのサブタイプにおける外陰痛の有病率を調査することを目的としています。
## 方法
### 研究デザインと参加者
この研究は、123人のBPS/IC患者と64人の年齢を合わせた対照群を対象にした前向き横断研究です。参加者は横須賀の泌尿器科クリニックで募集され、データ解析は神奈川歯科大学で行われました。研究は2023年9月から2024年4月まで実施され、倫理委員会の承認を得て行われました。
### データ収集と評価方法
参加者には、以下の標準化された質問票が自己記入形式で提供されました:
– 数字評価尺度-11(NRS-11)
– 外陰痛綿棒テスト
– 間質性膀胱炎症状指数(ICSI)
– 間質性膀胱炎問題指数(ICPI)
– 骨盤痛と緊急性/頻度スコア(PUFスコア)
– 過活動膀胱質問票短縮版(OABq SF)
– 過活動膀胱症状スコア(OABSS)
– 骨盤底障害評価-20(PFDI-20)
外陰痛綿棒テストは、外陰部の特定の部位に対して行い、その痛みの程度を評価しました。すべての参加者は外陰痛の症状を評価するための綿棒テストを受けました。
### クラスタリングとデータ解析
得られたデータを基に、階層型クラスタリングを使用して患者を分類しました。最適なクラスタ数は肘法を使用して決定しました。各クラスタの特性を解析し、クラスタ間の統計的な違いを評価しました。
## 結果
### 患者の特徴
研究期間中、348人の患者がクリニックを訪れ、そのうち131人がBPS/ICの診断基準を満たしました。最終的に123人の患者が研究に参加し、64人の対照群が選ばれました。BPS/IC患者の平均年齢は49.4歳で、対照群は55.4歳でした。
### クラスタリングの結果
無監督の機械学習により、BPS/IC患者は3つの異なるクラスタに分類されました。クラスタ0とクラスタ2は大きく異なり、クラスタ2は他のクラスタと比べて外陰痛のスコアが有意に高かったです(P < 0.001)。一方、クラスタ2は膀胱痛スコア(ICSIおよびICPI)や過活動膀胱症状スコア(OABq SFおよびOABSS)が他のクラスタに比べて低かったです。
## 考察
この研究により、BPS/IC患者には異なる症状プロファイルを持つサブタイプが存在することが示されました。特に、クラスタ2は外陰痛が優位なサブタイプであることが明らかになりました。この発見は、外陰痛を適切に評価することの重要性を強調し、個別化された治療アプローチが必要であることを示唆しています。
外陰痛を持つBPS/IC患者に対する治療として、非切除性エルビウムYAGレーザー療法などが効果的であることが報告されています。これにより、BPS/ICの診断と治療には膀胱外の症状、特に外陰痛を評価することが重要であることが確認されました。
## 結論
無監督の機械学習を使用して、BPS/IC患者を3つの異なるサブタイプに分類することができました。クラスタ2は外陰痛が優位なサブタイプであり、これに対する個別化された治療が必要です。外陰痛綿棒テストは、外陰痛の評価に重要な役割を果たし、標準化された質問票の限界を補うものです。BPS/ICの正確な分類と管理には、包括的な患者評価が不可欠です。今後の研究では、より大規模なサンプルサイズを用いた研究や、他の臨床データとの関連を調査することが求められます。この研究は、BPS/ICの理解と管理を進展させるための重要な一歩であり、患者の生活の質を向上させる新たな治療戦略の開発に寄与することが期待されます。

https://www.cureus.com/articles/263008-unsupervised-machine-learning-reveals-a-vulvodynia-predominant-subtype-in-bladder-pain-syndromeinterstitial-cystitis#!/

PAGE TOP