人工知能『ヴェスパー(vesper)』

ビックデータと人工知能による最善の治療コース

よこすか女性泌尿器科クリニックでは、ビックデータの集積と人工知能によるその解析をもとに最善の治療コースを提案します。2000年ごろから始まったポリプロピレン素材を体内に挿入固定して骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁を治療することは、一時期メッシュ手術以外を受付ないような風潮を世界に作ってしまいましたが、2016年の英国での副作用調査論文や多数の女性の告発により英国での禁止、さらには2019年の米国政府の承認取り消しにまで進みました。これらは、治療のデータを把握せず、だれでもメッシュなら大丈夫と盲目的に治療が勧められたからだと思います。

そこで、よこすか女性泌尿器科クリニックでは、先入観なしに診察をして、骨盤底のどこが弱まっているかを考えること、その背景に現在国際論文として発表されている文献のデータ、過去のカルテの検証データなどをもとに、治療方法を導き出します。

人工知能『ヴェスパー(vesper)』

当院の方法は、まず、患者様の身体のどこが不快感や痛みがあるのか、触らせていただきます。ここで、およその目星をつけておきます。このあと治療方針への道を考えていきます

① MRI検査による構造の確認。血流の有無

② ウロダイナミック検査による膀胱・尿道・肛門の電気の流れ(神経の流れ)と圧力

③ 当院の膨大なデータ(毎年800から1000件の手術)から最もよく似ているケースを取り出し

④ 海外の最新論文のデータ(ハーバード大学データーベースなど)から統計処理

人工知能を用いるのは③と④をつなぐときです。この作業は倫理委員会の認証を得ております。

また、高性能の①と②は、人間の目でデータを一緒に観察します。

(①MRI と②ウロダイナミック検査 を統合した例)倫理委員会:神奈川歯科大学

左のMRI画像のポイントと右の神経学的検査の所見が一致します。

さらに、排尿しながら内圧を測定することが可能になります。

人工知能『ヴェスパー(vesper)』の紹介

当院は毎年800から1000件の手術をしています。その全てが骨盤臓器脱と失禁です。膨大なデータは解析をすることで、日頃の診察での治療プロセスの決定に使うことができます。

 

人工知能『ヴェスパー(vesper)』

当院の人工知能『ヴェスパー(vesper)』は、人工知能プログラムPythonを基礎に、医学統計(重/ロジスティック回帰, 検定)を担当します。当院の膨大なデータ解析に役立ちます。対象は、

MRI検査において

恥骨結合角
尿道:縦径、横径
恥骨結合後端ー直腸前壁間距離
子宮における恥骨結合後端ー尾骨間距離
膣レベルでの環状断骨盤口径
ウロダイナミック検査において

膀胱内圧と腹部内圧比較
膀胱内圧と尿道内圧比較
尿道内圧と肛門内圧比較
これらのデータに対する手術時間、手術での左右差(VAS10)、出血時間、無再発率を計算します

また、R言語にて、ハーバード・データーベースの解析を行い、他施設との比較を計算します。

 

mplot3d tutorial — Matplotlib 2.0.2 documentation

(図はイメージ)設定は個々によって変わります。過去のデータを、治療を予定する患者の重要な変数に置き換えることで、手術の形式を選んでいきます。赤ドットは人工メッシュない当院データ、青はメッシュ手術。再発率はほとんど差がないのに、痛みなどの後遺症は青のメッシュ手術の方が断然多いデータ解析になります。このサポートがメッシュを使わないナチュラル手術の適正化を図ります

 

写真 取材毎日新聞の時のもの

 

人工知能の医学特集は、こちらにあります

 

 

人工知能の研究が論文になりました

人工知能の論文実績

Comparison of urethral sling surgery and non-ablative vaginal Erbium:YAG laser treatment in 327 patients with stress urinary incontinence: a case-matching analysis.
Okui N, Miyazaki H, Takahashi W, Miyauchi T, Ito C, Okui M, Shigemori K, Miyazaki Y, Vizintin Z, Lukac M. Lasers Med Sci. 2022 Feb;37(1):655-663. doi: 10.1007/s10103-021-03317-x. Epub 2021 Apr 22.
2018年の泌尿器科4大雑誌の一つ(World J Urol)に採用されたレーザー尿失禁治療の効果について、統計上もっともち密な後ろ向き比較研究方法であるPS(傾向スコアマッチング)を用いて計算したものである。2021年の段階で、もっとも研究人数の多いレーザー治療論文である。統計方法があまりに難しいために、論文として採用されるまでに1年以上の審査が必要であった。

Okui N, Okui M, Kouno Y, et al. (July 12, 2023) Laser Treatment for Patients With Vulvodynia and Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome: A Case Series (The UNICORN-3 Study). Cureus 15(7): e41786. doi:10.7759/cureus.41786
間質性膀胱炎とヴォルヴォディニア(外陰部疼痛症)をもつ女性には、膀胱の治療だけでなく、外陰部への治療を同時に行うことが重要です。やはり基本ですが、人間の体は全体で治療していかないとなかなかなおりません。この研究では、全体にレーザー治療をすることで、膀胱と陰部の境界にある炎症を改善できるということを示しています。

Ninjin’yoeito Improves Genitourinary Symptoms in Patients With Frailty. Okui N, Okui M (June 21, 2023)  Cureus 15(6): e40767. doi:10.7759/cureus.40767
漢方の人参養栄湯は、筋肉を増強します。この効果は、フレイルという状態の患者さんには重要で、人参養栄湯はフレイルの薬として使われています。では、骨盤底筋はどうでしょうか?人参養栄湯をのみながら骨盤底筋体操をすると、筋力が増し、膀胱への血流の問題などさまざまなものが解決します。そのために、過活動膀胱などの症状が改善していく人がでてきます。

この研究は最終的に、Natureポートフォリオに載りました。

その後、当院の患者さんみんなが使えるように、AIまちこ先生 として公開してます

AIまちこ先生(人工知能)とYouTube チャンネルで尿もれ相談

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