49人中2人は骨盤膿瘍で会陰メッシュ摘出

腹骨会陰切除(APR)と会陰メッシュ挿入の短期および中期の結果:単一施設での経験

 

### 要旨

**目的**: 腹骨会陰切除(APR)は、低直腸および肛門癌の治療において非常に重要な手術です。しかし、特にエキストラレベーターAPR(ELAPR)では、会陰の創部閉鎖が難しく、組織の隙間が生じるために挑戦的です。会陰の創部修復を改善するためにさまざまな方法が試みられてきました。この研究の目的は、生物学的メッシュを使用した会陰創部閉鎖の6年間の経験を報告することです。

**方法**: 2016年から2021年にかけてAPRと会陰メッシュ閉鎖を受けた患者のデータを、前向きに保持されたデータベースから抽出し、後方視的研究を実施しました。患者のデモグラフィックデータ、手術方法、術後の合併症、再発率、生存率などを詳細に分析しました。

**結果**: 6年間で49人の患者が低直腸癌のために会陰メッシュ再建を伴うAPRを受けました。そのうちの63%が男性で、平均年齢は68歳(±11)、平均BMIは27.9(±13.7)でした。患者の49%(24人)が新補助療法を受けていました。手術を受けた患者の88%(43人)が標準の「S-APR」を受け、12%(6人)がELAPRを受けました。手術の大部分は腹腔鏡下(87.8%)で行われ、転換率は6.9%でした。

平均入院期間は11.7日(±11.6)でした。会陰の創部感染率は30%で、腸切除性会陰瘻および骨盤の中の膿瘍によりメッシュ除去が必要な患者は2人いました。会陰ヘルニアは2人の患者(4.1%)に見られました。CRM(循環腫瘍細胞)は患者の81.6%で陰性でした。平均フォローアップ期間は29.2か月(±16.5)で、9人(18.3%)の患者で疾患再発が発生し、再発までの平均月数は21か月(±7)でした。フォローアップ期間中の全生存率は91%でした。

### 詳細分析

研究期間中、低直腸癌患者に対する会陰メッシュ再建を伴うAPRの手術は49例行われました。このうち、男性患者は63%を占め、平均年齢は68歳(±11)でした。BMIの平均は27.9(±13.7)であり、過半数の患者(49%、24人)が新補助療法を受けていました。

手術方法については、88%の患者(43人)が標準のS-APRを受け、12%(6人)がより複雑なELAPRを受けました。手術の大部分は腹腔鏡下で行われ、87.8%の成功率を示しましたが、6.9%の症例では開腹手術に転換されました。

術後の平均入院期間は11.7日(±11.6)であり、比較的長期の入院が必要でした。会陰創部感染は全患者の30%に発生し、これによりメッシュ除去が必要となった症例が2例報告されています。さらに、会陰ヘルニアは2例(4.1%)に見られ、術後のフォローアップが重要であることが示されています。

### 長期的な結果

CRMの陰性率は81.6%であり、手術の成功率の高さを示しています。フォローアップ期間の平均は29.2か月(±16.5)で、長期間にわたり患者の経過を観察しました。この期間中、18.3%の患者(9人)に再発が見られ、再発までの平均期間は21か月(±7)でした。全生存率は91%と高く、手術の有効性が確認されました。

骨盤膿瘍では摘出すべきだ

本研究は、低直腸癌患者に対する会陰メッシュ再建を伴うAPRの有効性と安全性を示しています。特に、生物学的メッシュを使用した会陰創部閉鎖の方法が、短期および中期の結果において良好な成績を収めていることが明らかになりました。今後もさらに長期的なフォローアップと大規模な研究が必要ですが、本研究の結果は今後の治療ガイドラインの策定に重要な示唆を与えるものです。

 

49人中2人は骨盤膿瘍で会陰メッシュ摘出

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  • 著者: A. Gendia, M. Rehman, Cindy W. Lin, K. Malik, K. Khalil, U. Ihedioha, P. Kang, J. Evans, J. Ahmed
  • DOI: 10.1007/s00384-023-04507-5
  • 公開日: 2023年8月22日

メッシュ摘出の専門からのポイント

腸切除性会陰瘻および骨盤における膿瘍によりメッシュ除去が必要な患者は2人。この手術は、むずかしく、摘出後の痛みをともなうことである

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