【当院の海外論文】離散数学理論により尿失禁のあるアスリート対策が計画に

離散数学

尿もれに悩む女性アスリートのために──最新レーザー治療と離散数学理論を使った新しい取り組み

こんにちは。今日は、女性アスリートの尿もれ(尿失禁)に対する新しい治療法とその裏側にある「数学」の話をご紹介します。

■ スポーツ中に「尿もれ」?アスリートには実はよくあることです

女性アスリート、とくに長距離ランナーやジャンプのような衝撃の強い競技を行う方の中には、走っている最中に「尿もれ」が起こる方が多くいらっしゃいます。
実は、競技レベルのアスリートの8割が、程度の差こそあれ経験しているとも言われています。

でも、これは決して恥ずかしいことではなく、骨盤の筋肉や体の使い方、ホルモンバランスなど複数の要因が重なって起きる現象です。

■ 最新の治療法:レーザー治療+骨盤底筋トレーニング

これまで、尿もれには「骨盤底筋トレーニング(PFMT)」が基本の対策でした。でも、それだけでは不十分なケースもあることがわかってきました。

そこで、今回私たちが行ったのは:

  • 骨盤底筋トレーニング(PFMT)

  • + 非切開式のレーザー治療(Er:YAGレーザー)

組み合わせ治療です。

レーザーは、膣や尿道の周囲に優しく熱刺激を加え、筋肉や支持組織を活性化させる方法。切らずにできて、ダウンタイムもほとんどありません

■ 数学で「この治療が効く人」を見える化!

私たちは、単に治療結果を見るだけでなく、「誰にこの治療が合うのか?」を見える化するために、数学の力を使いました。

具体的には「離散数学」という分野を応用し、患者さんの体の状態・トレーニング習慣・ホルモン・検査値などをグラフ(ネットワーク)でつなげる手法を使いました。

すると、

  • どの要因が効果に影響しているか

  • どの患者さんが「レーザーが必要」か

  • 誰はトレーニングだけで十分か

などが、一目でわかるようになったのです!

■ 実際の結果はどうだったの?

10年間で354人の女性アスリートに協力いただきました。そのうち48人がレーザー+トレーニングの両方を受け、41人が条件をそろえたうえで「トレーニングのみ」のグループと比較されました。

結果は…

  • 1時間の尿漏れ量が、平均で約50%減少!

  • スポーツへの復帰率が78%(レーザーあり) vs 45%(なし)

  • 生活の質も大幅に改善!

特にレーザー治療を受けたアスリートの方は、復帰までが早く、安心して競技に戻れたという声が多く寄せられました。

■ 「治療しすぎ」を防ぐためにも数学が活躍!

面白いことに、ネットワーク図を使った解析で、

「軽症の方の約3割は、レーザーがなくても改善した可能性がある」

ことも分かりました。
つまり、治療の“かけすぎ”を防ぐ手助けにもなったのです。

これからの医療では、「全員に同じ治療」ではなく、**一人ひとりの体に合わせた「オーダーメイド治療」**が大切になります。

■ 最後に:治療をあきらめないで

尿もれに悩む女性アスリートの皆さん。
「仕方ないこと」とあきらめず、正しい情報と治療で、笑顔で競技に戻ることができます。

今回の研究は、非侵襲的(切らない)・短時間・復帰が早いという点で、忙しいアスリートの味方になると確信しています。

また、離散数学を使ったアプローチは、今後のパーソナライズ医療に大きな可能性を与えてくれました。

患者が気軽に質問できる人工知能 AIまちこ先生

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