間質性膀胱炎の治療は、しばしば医師の経験を中心におこなってしまいます。このことが、いま治療すべきターゲットを見失うことになっていまいます。
Int Urogynecol J. 2024 Mar;35(3):637-648. doi: 10.1007/s00192-024-05735-1. Epub 2024 Feb 1.
Validation of Distinct Bladder Pain Phenotypes Utilizing the MAPP Research Network Cohort
Oluwarotimi Sewedo Nettey # 1, Cindy Gu # 2, Nicholas James Jackson 3, A Lenore Ackerman 4
Affiliations expand PMID: 38300276 PMCID: PMC11023803 DOI: 10.1007/s00192-024-05735-1
論文タイトル: 膀胱痛の異なるタイプの検証:MAPP研究ネットワークコホートを利用して
著者: Oluwarotimi Sewedo Nettey、Cindy Gu、Nicholas James Jackson、A Lenore Ackerman
要約:
背景と目的: 間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS)は複数の原因があると考えられます。そこで、この研究では、IC/BPS患者の3つの異なるタイプを大規模な多施設コホートで確認することを目指しました。このために、機械学習を用いた分析を行いました。
方法: 研究では、MAPP研究ネットワークを通じて募集された130人の閉経前の女性IC/BPS患者のデータを使用しました。患者が報告した症状をもとに、機械学習を使って3つの異なるタイプに分類しました。これらのタイプは、以前の単一施設コホートの結果と比較しました。
結果: 機械学習により、IC/BPSの患者は以下の3つのタイプに分類されました:
- 筋膜痛タイプ: 筋膜痛や圧痛点が検査で確認されるタイプ。
- 非泌尿器系骨盤痛タイプ: 泌尿器系以外の骨盤痛を特徴とするタイプ。
- 膀胱特異的痛みタイプ: 膀胱の痛みや灼熱感を特徴とするタイプ。
これらのタイプは、わずか11の特徴(症状の評価スケールなど)から導き出されました。以前の研究では49の項目が必要でしたが、今回は少ない項目で同様の分類ができました。
結論: この研究により、IC/BPS患者のタイプを明確に区別できることが確認されました。特に、膀胱特異的な痛みと筋膜や性器の痛みを区別することが重要です。これにより、患者の異なる病態生理学的特徴を反映していることが示唆されます。
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