骨盤臓器の脱出を治療する際、特に子宮を摘出した場合は、固定する場所がなくなります。そんな場合は、仙骨にある靭帯などを使って固定する方法があります。この方法では、腹腔鏡と呼ばれる装置を使います。この装置はお腹に二酸化炭素を入れて膨らませますが、その気圧に注意が必要です。なぜなら、気圧が低すぎると、手術を安全かつ副作用なく行うことができるのです。
この方法を受けた女性患者80人を対象に、術中の気腹圧を下げることで、手術後の痛みや鎮痛剤の使用量が減るかどうかを調査しました。標準的な気腹圧(15mmHg)と実験的な低気腹圧(12mmHg)を比較し、主要な評価項目として、手術後24時間以内の痛みの程度を視覚的アナログ尺度(VAS)で評価しました。
その結果、低気腹圧のグループでは、手術後1日目の痛みのVASスコアの中央値が、標準気腹圧のグループよりも低かったことがわかりました(17.0mm対29.0mm、P=0.007)。手術時間、出血量、入院期間には差が見られませんでした。また、低気腹圧のグループでは、入院および外来での鎮痛剤の使用量が標準気腹圧のグループよりも少なかったことが分かりました(P=0.04、0.02)。さらに、多変量解析によると、低気腹圧の使用と年齢の上昇は、手術後の痛みのVASスコアと負の関連があることが示されました。
この研究から、術中の気腹圧を下げることで、手術後の痛みが軽減される可能性があることが示唆されました。これにより、患者の痛みの管理に役立つでしょう