どんな研究?「お医者さんの言葉」と「患者さんの言葉」の壁をなくしたい!
この研究は、「間質性膀胱炎(かんしつせいぼうこうえん)」や「膀胱痛症候群(ぼうこうつうしょうこうぐん)」という、慢性的な膀胱の痛みやトイレの回数で悩む病気を対象にしています。
• 左の青い丸: 病院では、診断のために標準化された「難しい専門用語」が使われます。
• 右のオレンジの丸: でも、患者さんはネットの掲示板などで、もっと「普通の話し言葉」でつらさを語り合っています。
この二つの間には、言葉のギャップ(壁)があります。この研究の目的は、数学の力(ネットワーク解析)を使って言葉の「地図」を作り、このギャップに橋を架けることです。お医者さんの言葉が、患者さんのリアルな声とどうつながっているかを調べました。

間質性膀胱炎 診断AI
間質性膀胱炎をモデルに 何をして、何が分かった?
ネットの書き込み50万語を分析して見えた、症状の「つながり」
具体的に、3つのステップで分析を行いました。
1. 言葉を選ぶ: まず、病院で使われる質問票から「痛み」や「排尿」に関する重要な言葉を19個選び出しました。
2. ネットを分析(ここが重要!): 海外の巨大掲示板「Reddit」にある、患者さんの書き込み約50万語のデータを分析しました。
• その結果、選んだ専門用語の約7割が、患者さんの書き込みの中でも実際に使われていました。
• さらに、言葉のつながりを分析したところ、「痛み」「尿意(トイレに行きたい)」「頻尿(回数が多い)」の3つが、非常に強く結びついていることが分かりました。これが患者さんにとって最も中心的なつらさのセット(中核となる三位一体)のようです。
3. 症状と場所の関係: 「灼熱感(焼けるような感じ)は尿道と関係が深い」「痛みはお腹全体と関係が深い」など、特定の症状が体のどの場所と強く結びついているかも明らかになりました。

これからの医療へ 新しい診断AI
もっと「患者さんの声」に寄り添う医療のために
この研究で分かったことと、これからの期待です。
• 良かった点と課題: お医者さんが使う言葉の多くは、患者さんの言葉とよく一致していました。しかし、「不快感」のような一部の言葉は、患者さんの会話ではあまり使われておらず、逆に見落とされている「患者さん特有の表現」があることも分かりました。
• 今の検査じゃ足りないかも?: 今の病院の問診票だけでは、患者さんのつらさを全て拾いきれていない可能性があります。
• 未来への期待: これからは、AI(言葉を理解する技術)なども使って、患者さんの自然な話し言葉をもっと理解できるような仕組みが必要です。そうすることで、より患者さん一人ひとりに寄り添った医療ができるようになると期待されます。

Youtubeの解説
https://youtube.com/shorts/kdUstfjWWfw?si=Zt3v54W4uS7cCG1W

間質性膀胱炎、診断AI
むずかしい内容もアニメで解説
論文への直リンク(近日公開)
ありがたいことに、異例の5人が査読委員に承諾していただいて、全員から褒めていただいて無修正で合格しました。











