間質性膀胱炎の総説に当院論文が採用。多角的視野での治療を。

視野を広げる: 間質性膀胱炎/膀胱痛症候群の進歩という論文です。日本からの論文は、当院、東京大学、東京女子医大の3つです。
このうち、当院は間質性膀胱炎に対するレーザー治療の分野。東京大学は分子生物学、東京女子医大はDMSO膀胱注入をとりあげています。

間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS)は、慢性的な膀胱の痛みや尿意切迫感を引き起こす厄介な病気です。患者さんの生活の質を著しく低下させますが、原因や効果的な治療法がまだ十分に解明されていません。

IC/BPSの診断は難しく、他の病気を除外しながら症状を総合的に判断する必要があります。患者さんは頻尿や尿意切迫感、そして膀胱や骨盤の痛みを訴えることが多いです。診断には詳しい病歴聴取や身体診察、尿検査などが行われます。また、膀胱鏡検査で膀胱内の異常(ハンナー病変など)を確認することもあります。

治療は段階的に行われ、患者さん一人一人に合わせてカスタマイズされます。まずは生活習慣の改善から始まり、ストレス管理や食事制限、骨盤底筋訓練などが推奨されます。薬物療法としては、抗うつ薬や抗ヒスタミン薬、痛み止めなどが使用されます。膀胱内に薬剤を直接注入する治療法も効果的な場合があります。

これらの標準的な治療で効果が不十分な場合、より侵襲的な治療が検討されます。例えば、膀胱拡張術やボツリヌス毒素の注射、神経刺激療法などがあります。最後の手段として、膀胱の一部や全部を切除する手術が行われることもありますが、これは慎重に検討される必要があります。

研究者たちは、IC/BPSのメカニズムを解明し、新しい治療法を開発するために懸命に取り組んでいます。動物実験や細胞実験を通じて、膀胱の炎症や痛みのメカニズム、さらには膀胱壁の線維化のプロセスが少しずつ明らかになってきています。

将来的には、モノクローナル抗体療法や幹細胞治療、新しい薬剤送達システムなど、革新的な治療法が登場する可能性があります。また、個々の患者さんの症状や病態に合わせた、よりパーソナライズされた治療アプローチも期待されています。

IC/BPSは複雑で難しい病気ですが、医療の進歩により、患者さんの生活の質を改善する新しい希望が生まれつつあります。患者さんと医療者が協力しながら、最適な治療法を見つけていくことが大切です。また、この病気に対する社会の理解を深めることも、患者さんのサポートには欠かせません。

Broaden Horizons: The Advancement of Interstitial
Cystitis/Bladder Pain Syndrome

Citation: Li, J.; Yi, X.; Ai, J. Broaden
Horizons: The Advancement of
Interstitial Cystitis/Bladder Pain
Syndrome. Int. J. Mol. Sci. 2022, 23,
14594. https://doi.org/10.3390/
ijms232314594

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