【当院の海外論文】”症状グループの変化”が、膀胱部痛症候群/間質性膀胱炎の治療では重要です

症状グループ

【当院の海外論文】において、私たちは膀胱部痛症候群(BPS)と間質性膀胱炎(IC)の治療における「症状変化によるグループの変化」の重要性を明らかにしました。BPS/ICの治療において、症状グループの変化は非常に重要です。この研究では、主成分分析やクラスタ分析を用いて、症状のパターンを詳細に分析しました。さらに、レーザー治療のケーススタディも紹介し、個別化医療の有効性を証明しています。

BPS/ICと外陰痛の治療で、症状が変化する重要性

 

はじめに

主成分分析により、症状のグループ化が可能になり、個々の患者に最適な治療法を見つける手助けとなります。また、クラスタ分析を用いることで、似たような症状を持つ患者グループを特定し、それぞれに適した治療計画を策定することができます。

新しい治療戦略として、膀胱と外陰の両方の症状をターゲットにした研究が進行中です。局所エストロゲン療法やレーザー治療がBPS/ICと外陰痛の両方の症状管理に有望な結果を示しており、包括的かつ個別化されたアプローチの必要性が示唆されています。

### どのグループに属するかの変化と治療への影響

BPS/ICの症状は多岐にわたり、痛みの強さや頻度、尿意の感覚などが異なります。これらの所属グループが変化することを理解することは、効果的な治療法を選択するために不可欠です。例えば、ある研究では、症状の変化を追跡することで、特定の治療法がどのように患者に効果的であるかを評価することができました。

本研究では、BPS/ICの患者3名を対象に、クラスタ分析とレーザー治療を用いた個別化治療アプローチの有効性を示すケースシリーズを紹介します。主成分分析(PCA)を用いて症状クラスタの動的な性質を視覚化し、治療決定に役立てました。

## ケースプレゼンテーション

### ケース1

41歳の女性がBPS/ICの症状で来院しました。初診時、患者は数値評価スケール-11(NRS-11)で8点、IC症状指数(ICSI)で11点、IC問題指数(ICPI)で14点、骨盤痛と緊急性/頻度患者症状スケール(PUF)で25点、過活動膀胱質問票短縮版(OABq SF)で26点、過活動膀胱症状スコア(OABSS)で7点、骨盤底障害評価-20(PFDI-20)で42点を記録しました。クラスタ分類に基づいて、患者はクラスタ1に分類されました。

治療の過程で、膀胱水膨張法を3回実施しましたが、外陰部の痛みが改善されず、フォトナレーザー治療を行いました。この治療により、すべての症状が完全に消失しました。

### ケース2

55歳の女性は、右乳がんの既往歴があり、ホルモン療法が禁忌でした。初診時、NRS-11で9点、外陰部痛で50点、ICSIで6点、ICPIで10点、PUFで16点、OABq SFで18点、OABSSで3点、PFDI-20で7点を記録しました。クラスタ2に分類されましたが、フォトナレーザー治療後にクラスタ1に移行し、膀胱水膨張法による治療で完全に治癒しました。

### ケース3

49歳の女性がBPS/ICの症状で来院しました。初診時、NRS-11で8点、外陰部痛で42.5点、ICSIで13点、ICPIで12点、PUFで25点、OABq SFで25点、OABSSで7点、PFDI-20で42点を記録しました。クラスタ0に分類され、ハンナーレッションの焼灼術後にクラスタ2に移行し、フォトナレーザー治療で完全に回復しました。

## 結論

このケースシリーズは、クラスタ分析とレーザー治療を用いた個別化された動的アプローチが、BPS/ICおよび外陰痛の治療に有効であることを示しています。膀胱と外陰の両方に焦点を当てた統合的な治療戦略が、すべてのケースで顕著な症状改善と持続的な緩和をもたらしました。今後の研究では、このアプローチの有効性を確認し、患者の生活の質を向上させるための新しい治療戦略の開発が期待されます。人工知能が医療に役立つ好例です

参考文献

Okui N, Okui M A (July 31, 2024) Mathematical Approach to Synergistic Management of Bladder Pain Syndrome/Interstitial Cystitis and Vulvodynia: A Case Series Utilizing Principal Component Analysis, Cluster Analysis, and Combination Laser Therapy. Cureus 16(7): e65829. doi:10.7759/cureus.65829

医療に役立つ人工知能、「膀胱部痛症候群」「間質性膀胱炎」「症状グループの変化」

 

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